COLUMN
コラム
循環型トイレと防災の関係を徹底解説!
災害時のトイレ対策について、十分な準備ができているでしょうか?
従業員や施設利用者の安全を確保するうえで、トイレの衛生環境維持は事業継続に不可欠です。
しかし、従来の仮設トイレや備蓄品だけでは、衛生面や快適性の維持に限界があります。
その有力な解決策として注目されているのが、断水時でも普段どおり使える「循環型トイレ」です。
本記事では、循環型トイレが防災対策としてなぜ有効なのか、その仕組みとメリットを各地の導入事例を交えながら解説します。
BCP強化と持続可能な施設環境を実現するための、ヒントとしてお役立てください。
循環型トイレの基礎知識
循環型トイレは、災害時の断水に強いという特徴から、BCP対策を検討する多くの企業や自治体で注目が集まっています。
しかし、その具体的な仕組みやメリットについては、まだ広く知られていないのが現状です。
まずは、循環型トイレがどのようなものなのか、その基本を理解することが肝要です。
循環型トイレの基礎を学ぶことで、防災対策としての有効性が見えてくるでしょう。
循環型トイレとは?その仕組みと特徴
循環型トイレとは、排泄物を含む汚水を施設内で浄化処理し、その水を再びトイレの洗浄水として利用する自己完結型の水洗トイレです。
最大の特徴は、上下水道への接続を必須としないため、水道インフラがない場所にも設置できる点です。
浄化の仕組みは製品によりさまざまですが、おもに微生物の働きを利用して汚水を分解する方法が採用されています。
たとえば、土壌微生物膜浄化槽(ソフィール)のように、 土壌に生息する微生物の力を活用したシステムは、汚水を高度に浄化する能力が特徴です。
処理水は臭いや色がほとんどなく、元の汚水が想像できないほど透明な状態になることもあります。
この仕組みにより、災害で断水が発生しても、トイレ内の水を循環させて普段どおり使い続けることが可能です。
防災における循環型トイレの重要性
災害発生時、電気やガスと並んで深刻な影響を受けるのが水道インフラです。
断水によって多くの水洗トイレが機能を失うと、私たちの健康や尊厳に関わる衛生問題が急速に深刻化します。
この「災害時のトイレ問題」の実態を具体的に知ることが、循環型トイレの重要性を理解する第一歩といえるでしょう。
ここでは、災害時におけるトイレ問題の現状を掘り下げます。
過去の災害でどのような課題があったのかを把握し、未来への備えを考えましょう。
災害時におけるトイレ問題の現状
災害時のトイレ問題は、単なる不便さにとどまらず、健康被害にもつながる深刻な課題です。
避難所では仮設トイレやマンホールトイレがおもな対策となりますが、それぞれに問題を抱えています。
たとえば、仮設トイレは災害直後の迅速な手配が難しい場合があるほか、衛生環境が悪化しやすく、定期的な汲み取りが欠かせません。
一方、マンホールトイレはプライバシーの確保が難しく、臭いの問題や使用するための設営訓練が必要になるという課題があります。
こうした状況は、トイレの使用をためらわせ、水分摂取を控えることによる体調不良、いわゆる「災害関連死」の一因にもなり得ます。
そのため、災害時でも特別な手間なく、誰もが安心して使える衛生的なトイレ環境の確保が大切です。
循環型トイレの導入事例
循環型トイレは、その優れた防災性能と環境性能から、すでに各地のさまざまな施設で導入が進んでいます。
防災拠点となる公園から多くの人々が集う施設まで、その活用方法は多岐にわたります。
理論上のメリットだけでなく、実際の現場でどのように活用されているかを知ることは、導入を検討するうえで参考になるでしょう。
ここでは、特徴的な3つの導入事例を紹介します。
これらの事例を通じて、貴社における具体的な活用イメージを掴んでください。
導入事例①
循環型トイレの代表的な導入先として、防災公園があげられます。
たとえば、宮城県南三陸町の「震災復興祈念公園」や、宮城県気仙沼市の「松崎尾崎防災公園」に設置されています。
これらのトイレは、平常時には公園を訪れる観光客や地域住民のための快適な公衆トイレとして機能。
そして、万が一災害が発生した際には、避難してくる人々のためのライフラインとしての役割を担います。
このように、日常と非日常の垣根なく活用できる「フェーズフリー」という考え方は、持続可能な防災対策の基本です。
循環型トイレは、地域に暮らす人々の普段の利便性を高めながら、いざというときの安心も提供しています。
導入事例②
防災公園だけでなく、より日常的に市民が利用するスポーツ施設や一般公園でも循環型トイレの導入は進んでいます。
山口県長門市の「ながとスポーツ公園」や、新潟県三条市の「条南あおば公園」などがその一例です。
これらの施設は、普段から多くの市民に親しまれる憩いの場であると同時に、災害時には地域の防災拠点としての機能が期待されます。
とくに、非常用発電機と組み合わせることで、災害による停電時にもトイレ機能を維持できます。
普段から使い慣れた場所にあるトイレが、災害時にもいつもどおり使えるという安心感は計り知れません。
地域コミュニティの防災力を高めるうえで、大切な役割を果たしています。
導入事例③
循環型トイレは、上下水道の整備が難しい山間部の観光地などでも活躍しています。たとえば、世界遺産「富士山」への納入に向けた取り組みが進められており、富士山麓・朝原高原や乗鞍高原・五色ヶ原に設置されている事例があげられます。
観光地では、行楽シーズンとオフシーズンで利用者の数が大きく変動するため、浄化槽の処理能力が不安定になりがちです。しかし、利用者の増減に左右されにくい安定した処理能力を持つ循環型トイレであれば、常に快適なトイレ環境を提供できます。
これにより、観光客の利便性向上や観光地のイメージ向上、そして周辺の自然環境の保全を両立させることが可能です。このように、循環型トイレは防災対策としてだけでなく、インフラ整備が困難な地域の課題を解決するソリューションとしても有効に活用されています。
雨水の活用と循環型トイレ
循環型トイレの中には、トイレ内で水を循環させるだけでなく、さらに雨水を新たな水源として活用するシステムを備えたものも存在します。
これは、施設の屋根などに降った雨水を集めて専用のタンクに貯水し、その水を浄化してトイレの洗浄水などに有効活用する仕組みです。
このシステムを導入することで、断水時でもトイレ機能を維持できるだけでなく、より長期的な水の確保へとつながります。
雨という天からの恵みを活用することで、節水効果をさらに高め、環境負荷を低減することも可能です。
災害時における水源確保の選択肢を増やすという意味でも、有効な防災対策といえるでしょう。
まとめ
循環型トイレは、災害時のトイレ問題を根本的に解決する防災インフラとして、その重要性が認識されています。
土壌微生物膜浄化槽による高度な処理技術により、断水・停電時でも切り替え作業なしで清潔な水洗トイレを継続できることが最大の強みです。
貴社の防災対策強化や施設の安全性向上をご検討の際は、ぜひ循環型トイレシステムの導入をご検討ください。
断水・停電時も切り替え不要で水洗を継続できる「ソフィール」は、処理水が無臭・透明で小電力の非常用電源にも対応しています。
従業員や施設利用者の安全と健康を守る、持続可能な防災インフラの構築をお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。